口臭と歯周病
口臭が主訴で来院される患者さんが最近増えました。
2009年度に当センターを“口臭”を主訴に来院された患者さんは86名です。女性の患者さんが圧倒的に多く、6割以上の方が口臭を自分で感じていました。
検査で実際に口臭があった患者さんは23.3%と少なく、ほとんどの患者さんは“気にしすぎ”ということがわかります。
しかし、実際に口臭があった患者さんは全員歯周病でした。90%の患者さんが中等度の歯周病、10%の患者さんは重度の歯周病でした。
実際に口臭が出てくる段階では歯周病が中期まで進行している事がわかります。 |

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歯周病は生活習慣病
歯周病は、生活習慣病(成人病)の一つです。生活習慣病とは良くない生活習慣の積み重ねによって引き起こされる病気です。
メタボリックシンドロームという言葉をご存じと思いますが、それら高血圧症、糖尿病、高脂血症や肥満などが生活習慣病としてよく知られています。
歯周病も口の清掃という生活習慣を怠ることで進行します。生活習慣を改善し、清掃を徹底すれば治ることもありますが、一定のレベルより悪くなった場合には、専門医での治療が必要です。治療はまず病気の進行度を知るための検査から始まります。
レントゲン、歯周ポケットや噛み合せなど多くの検査が必要になります。それによって、歯周病の進行度が初期・中期・末期であるのか知ることができます。
それぞれに対応した治療が必要となってきます。
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なぜ歯周病は減らないの
現在、国民の8割が歯周病と言われています。こんなに歯医者さんがあるのになぜ歯周病は減らないのでしょうか。
歯周病における生活習慣の大切な改善ポイントは口腔の清掃です。歯だけではなく、歯と歯肉の間の歯周ポケット内を毎日継続して清掃する習慣を持たないと治癒しません。しかし、歯周病が進行し、ポケットがどんどん深くなって、清掃器具が届かない深さになってしまうと清掃器具も届きません。そのような場所には、歯周外科手術が必要になります。また、歯並びが悪く清掃器具が届かない場合には歯列矯正が必要です。かぶせ物も交換する補綴治療も必要です。
歯周病の治療には、多くの診療科が関わっており、それらの専門分野の連携が必要なのです。
残念ながらこれらの分野をうまく連携して治療している歯周病の医院はまだ多くありません。多くの分野と連携した歯周病の専門医院が、今後増えてくれば、歯周病は減って行くと考えています。
当院には、歯周病に関して学会が認定した一定レベル以上の知識と経験を積み、試験に合格した歯科医師と専門医がおり、
インプラントなど多くの分野と連携した歯周病治療を行っています。 |
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歯周病治療の前に必要な検査
(歯周病で悩んでいる患者さんに知って頂きたいこと)
歯周病の治療を開始する前に必要な検査があります。
どれぐらい歯周病が進行しているのかを調べる検査です。
一般的に上下で28本の歯があります。歯周病になっても28本がすべて同じように進行している事はありません。残せないぐらいに歯周病が進行した歯もあれば、初期または中期で治療で残せる段階の歯もあります。それを知るために1本づつの歯の歯周病の進行度を検査することが必要です。残っている歯の1本づつに歯周病の診断がなされます。重度の慢性歯周炎や軽度の慢性歯周炎などです。
では実際どのような検査で診断するのでしょうか。
数多くの検査をしますが、主に以下の3つの検査から診断します。
- 1)歯周ポケットの深さ(歯と歯肉の間の溝の深さを測ります)
検査動画(健康な歯肉の検査)
- 2)検査時のポケットからの出血(出血がある部位は細菌感染による炎症があります)
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検査動画(重度の歯周病) |
| ※出血の画像ですので血液を見て気分が悪くなられる方はご遠慮下さい。 |
- 3)歯の周りの骨の吸収程度(歯周病が進行すると表面から骨が吸収してきます)

歯の周りの骨の吸収状態をこのようなエックス線検査で調べます。
全部の歯を診査するためには10〜14ヶ所に分けて検査撮影をする必要があります。
歯周病の骨の状態を診査するには不可欠な検査です。 (健康な歯肉の状態)
検査結果から軽度(初期)・中等度(中期)・重度(末期)と3段階に診断されます。
・軽度の歯周病(初期)
ポケットが3mm以下、出血部位が30%未満、骨の吸収が歯の根の長さの1/3以下
・中等度の歯周病
ポケットが4〜6mm、出血部位が30〜50%、骨の吸収が歯の根の長さの1/3〜1/2
・重度の歯周病
ポケットが7mm以上、出血部位が51%以上、骨の吸収が歯の根の長さの1/2以上
(日本歯周病学会 歯周病の検査・診断・治療計画の指針 2008年より)
※歯周病の治療の前にはこれらの検査と診断が必ずなされるはずです。
“ひどい歯周病”や“全部の歯を抜かないといけない”、“治療方法がないから仕方がない”
当院に来られる前にこのように言われた患者さんがいらっしゃいます。
これらは歯周病の診断ではありません。歯周病の診断を下さずに歯周病の治療を開始
することはできません。まして歯を抜いたり、手術をしたりすることも絶対にありません。
うがいをするだけで治る(パーフェクトペリオなど)、また”歯周病内科”などの存在しない標榜科を作り、投薬のみで治るような治療が宣伝されていますが、これらは治療は正しい治療ではありません。
行っても歯周病は治りません。日本歯周病学会でもそれらの治療の効果を認めていません。
定期的に消毒を行い、検査・診断・必要な治療説明もなしに経過をみる治療も正しい治療ではありません。その間に歯周病はさらに進行して行きます。
歯周病が進行し、歯を抜くことは患者さんにとって大変辛いことです。しかし放置しておけばさらに進行します。今なら残すことができる歯もあるはずです。
勇気を持ってまず検査を受けてください。そして自分の歯周病の状態を正しく知って下さい。
これらの検査と診断は、日本歯周病学会の認定歯科衛生士や歯周病専門医の下で受けていた
だくことをお勧めします。 |
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歯周病科の患者さんの来院理由
下のグラフは2010年1月〜12月に当センター歯周病科を受診した患者さんの来院理由です。

当センター歯周病科を受診した患者さんの主訴の内容
(2010年1月〜12月 212名)
33.5%(3人に1人)の患者さんが、他の医院での治療内容に疑問があり、専門医での検査を希望してセカンドオピニオンを求めて来院されています。
自分で歯周病とわかって来られる患者さんも多く、口臭が主訴の患者さんも増えています。
昔のようにひどく腫れてから来られる患者さんは減ってきています。
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歯周治療の流れ

レントゲン検査や歯周ポケット検査など各種検査を行い、患者さんの歯周病の進行程度を診査します。病状によって、図のように初期・中期・重度とその段階に応じた治療が必要になります。しかし、すべての時期において必ず行わなければならない治療があります。これは基本治療と呼ばれ、中心はプラークコントロールです。プラークコントロールというとテレビのCMの影響で歯磨きというイメージが強いのですが、本来の意味は“患者さん自身による口腔内管理”です。口腔内の歯垢(プラーク)の除去が基本であり、日常の生活習慣の改善も必要です。大切なのは、歯と歯肉の間の歯周ポケットへの清掃器具の到 達を確実に行うことです。これらを自身で行えるようになることをプラークコントロールと呼びます。
このプラークコントロールを確立した上で、歯石除去や根面の汚れを除去します。
初期の段階であれば、これで一旦治療は終了しますが、中期・重度の場合には深いポケットが存在し、清掃器具が細菌の増殖しているポケット内には届きません。そのため外科手術が必要になります。
また、清掃器具の到達を妨げる原因が歯並の場合には矯正治療も必要です。
治療後は治療前と同じ検査を行い、次の治療計画を立てます。一旦治療が終了した場合でもメンテナンス治療に移行します。
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各段階に応じた治療
レントゲンやポケット、出血などの検査が終了し、進行のレベルがわかればそれに応じた治療が必要になります。同じ患者さんでも部位によって進行度が違ってきます。
たとえば、奥歯は中等度でも前歯は初期の段階など場所によって進行度が違ってくるのが当たり前です。
以下が当センター歯周病科の一般的な治療の流れです。(患者さんの症状によって大きく変わることもあります)
初期の段階(ポケットの深さが4mm以内の部位)
治療期間は2ヶ月ぐらいで終了します。当歯周病科の約7割の患者さんがこの初期の段階です。年齢は20〜40歳代の患者さんが中心です。
歯周病の専門医院でないと見落とされる事が多い段階です。どんな重度の歯周病でも必ず初期の段階があったはずです。この段階で検査を行い治療すれば歯周病の進行は抑制できます。
1) プラークコントロール
・口腔の清掃性を改善していただきます。一般歯科で行っているブラッシング指導とは違うものです。 当センターでは歯周病のトレーニングを受けた専門歯科衛生士が指導しますのでご安心ください。
2)歯石や根面の汚れを除去します。
・患者さん自身に清掃機具がポケット内に届きやすくするために行います。
3)再度検査を行い良くなったかを確認します。
4)必要に応じてメンテナンス治療に移行します。

中期の段階(ポケットの深さが5mm〜7mmの部位)
治療期間は3ヶ月〜1年ぐらいです。年齢は30〜70歳代まで広くいらっしゃいます。
この段階であれば、ほとんどの歯を残すことが可能です。患者さんの自覚症状もほとんど無い段階です。
1)プラークコントロール
2)歯石や根面の汚れを除去します。
3)必要な部位に歯周外科手術を行います。
・患者さん自身に清掃機具がポケット内に届きやすくするために行う手術です。
・年間200名(年間手術数を参照)を超える患者さんが手術を受けられていますが、
次の日に腫れたり、ひどく痛むような手術ではありません。
・口の中を一度に手術をすることはできませんので、お口全体を8〜10カ所に分けて
必要な場所に手術を行って行きます。
4)再度検査を行い良くなったかを確認します。
5)メンテナンス治療に移行します。

重度の段階(8mm以上のポケットが数カ所以上見られる)
治療期間は1年、またはそれ以上必要です。年齢は20〜50歳代の患者さんが多く、若い方もいらっしゃいます。
患者さんや一般歯科の先生(歯周病科以外の先生)がイメージされている歯周病はこの段階です。
1)プラークコントロール
2)歯石や根面の汚れを除去します
3)どうしても残すことのできない歯の抜歯を行います
4)抜けた歯の場所に義歯や仮歯などの歯を作ります。
5)必要な部位に歯周外科手術を行います。
6)歯並びが歯周病の原因になっている場合には矯正治療も平行して行います。
7)再度検査を行い良くなったかを確認します。
8)メンテナンス治療に移行します。

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歯周病の専門医とは
歯周病の専門医とはとはNPO法人日本歯周病学会が認定した資格です。
5年間あるいは認定医取得後2年間研修施設で研修して、専門的な歯周治療の知識と技量をマスターした上で専門医試験に合格した歯周病学会員です。
当センター歯周病科では、歯周病の専門医が治療前の検査から歯周病の進行具合の診断、そして治療からメインテナンスまで責任を持って行います。
また、歯周病学会の歯周病認定歯科衛生士も皆さんの治療や口腔管理をお手伝いします。安心して治療をお受けください。 |
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メンテナンス治療
歯周病の治療が終わった後でも、深いポケットや清掃器具の届かない部位が残ることがあります。このような部位を定期的に検査して、専用の器具や薬で洗浄・消毒する事をメンテナンス治療というといいます。
正確にはSPT(Supportive Periodontal Therapy)と呼びますが、メンテナンス治療と覚えてください。メンテナンスと聞くと“予防”というイメージが強いのですが、これは治療です。歯周病の治療終了後にこのメンテナンス治療を継続して行うかが、その後の経過に影響すると考えられています。
歯周病の治療後のメンテナンス治療は、一般歯科で行われている歯の表面の汚れを機器で除去するPMTC(Professional Mechanical Tooth Cleaning)とは違うものです。歯周病における清掃管理のポイントは歯周ポケットです。歯の表面は歯ブラシで清掃できますが、一定以上深くなったポケットや歯列不正で清掃しにくい部位のポケット内には清掃器具は届きません。定期的に管理してポケット内を消毒することが必要です。歯周病は10年、20年と長期に渡って管理することが大切です。
当センターでこのメンテナンス治療を受けられている患者さんは年間1000人を超えます。また10年から20年と通院されている患者さんもいらっしゃいます。詳しくは当センタースタッフのお尋ねください。

当センター歯周病科で2011年1月〜12月の間に歯周病の手術を受けた107名の患者さんのうち、引き続きメインテナンス治療へ移行した患者さんの割合は83名(77.5%)でした。
歯周病の治療が終了し、病状が安定しても継続してメインテナンス治療を受けることは、その後の歯周病の再発・悪化を抑制するのに効果があることは研究でも証明されています。通院の時間とメインテナンス費用が負担になりますが、せっかく治療してよくなった歯を守るためには、大切な治療です。
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歯周外科手術とは
1)歯周病が進行し、骨の吸収が進んでしまった
(歯周病の原因が深いポケットにあり歯周病手術が必要な患者さんです)
※この写真はすべて患者さんの了解を得て載せています。
2)一見健康そうに見える歯ぐきでも
(一本の歯だけ吸収してしまう事もあります。)
3)歯並びも歯周病の原因になります
(歯周病の原因が歯並びにあり歯列矯正が必要な患者さんです。)
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歯周組織再生手術(GTR)
再生治療とは、病気で失われた体の組織を元通りに戻す治療です。歯周病が進行すると、歯の周りの骨と歯根膜という歯根の周りの組織も破壊されます。歯周組織再生とは、この歯根膜組織と骨を再生する治療を言います。
方法としては、GTR法 (Guided Tissue Regeneration) やエムドゲインを使った治療法などが知られています。どの方法にしてもまず歯周病の検査を行い、基本的な治療を行った後で行う事が必要です。専門医の元で行わねば成功しない難しい手術です。またどの患者さんにでも適応できる治療ではありません。詳しくは当センタースタッフにお尋ねください。
歯周組織再生治療1(当センターの患者さん)
歯周組織再生治療2(当センターの患者さん)
※この写真はすべて患者さんの了解を得て載せています。
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歯槽骨再生手術(GBR)
再生医療とは、患者さんの体の失ってしまった、部分の臓器を患者さんの体自身の再生能力で元に戻す治療です。
歯が抜けてしまうと、その部分の骨が失われ、大きな穴があいてしまいます。しかし再生手術を用いると、下の写真のように、人工歯根のインプラントとともに失われた骨も再生することができます。詳しくは、当センター再生医療の専門医にご相談下さい。
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▲骨再生前
インプラントを埋入しましたが骨が
ありません。
(白い部分が骨です) |
▲骨再生後(約3年後)
患者さん自身の骨が再生しました。
骨が無くてもインプラントは可能です。
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▲骨再生前
インプラントを埋入しましたが骨が
無く、インプラントが露出しています。
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▲骨再生の方法
特殊な膜を使って(GBR法)、 患者さん自身の骨を再生します。
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▲骨再生後(3ヶ月後)
患者さん自身の骨が再生しました。
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